2008年6月3日火曜日

Nipponia Nippon

上映時間を過ぎて飛び込んだ久々の映画館。

受付の女性に慌てて発した言葉は「松一!」


ア、これは前職の上司が時々連れて行ってくれた
深夜営業のラーメン店だった!!


で、実際に観たのは「徳市の恋」のサブタイトルが付いた
「やまのあなた」という映画。


1930年代の作品の完全リメイクにはCGが必須なのだ、

と頭では理解しながらも一抹の寂しさ。


しかし、静かな景色と長閑な時間、淡色の感情が
スクリーン上に描かれるにつれ、それを忘れていく。


「笑い」の演出には2,3のシーンで注文がないわけではない。

しかし、最後の最後で迸る刹那の激流、迸る感情を
見せる映画なのだし、完全リメークとあっては致し方ない。

話の核は盲目のマッサージ師と日陰の身の罪悪感から
逐電した女の端麗な恋。


「按摩」「按摩さん」は「マッサージ」や「癒し」に
摩り替わり、その外来種は在来種を駆逐する勢いだ。


かのジャイアント馬場さんが巨人在籍中に脳腫瘍から
失明は免れないと診断され、

即座に按摩となるための学校入学を勧められたというのも
物心二重の意味で遠い話となる。

他方、「妾」「お妾さん」「二号さん」も「愛人」と
言葉を変えれば逞しさや強さまで孕んでの変質となる。


映画の中で描かれたのは古き日本の美、ルネッサンスか
それとも滅びの美学なのだろうか?


世界の真ん中で声高に叫ばなくても通う情。

携帯電話がなくても、時空を超えて通じる情。



数年前、冬の江ノ島から墨絵のように見渡せた伊豆は
映画のロケ地でもあった。










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