2007年10月8日月曜日

A Little Kitten  pt.1

地下道を丁度、上がりきる所に、蛙か虫か、
命のかけらを見つけた気がした。

上がりきり、路肩に車を停めて、
駆け戻る。

分離帯に毛か繊維が広がっている。
遅かったのか、という思いを抑えて走り寄ると、
それよりもっと地下道の上がり口近く

「にー」に濁点をつけたようなか細い声で、
それでも精一杯あたりを威嚇するように、
頼りない足取りでそれは地下道の出口を
横断しようとしていた。

そこへヘッドライト。
ワーワーと大声を出して手を頭上で振る。

急停止した車の鼻先でしゃがみこんで
その小さな命を掬った。

僕の胸に必死でしがみつく代わりに鳴きやむ。
爪を立てる力は生への執着。
それとも大きな不安や孤独からの反動?

掬い上げ双眸は閉じられ、光を奪われていた。
永遠に続く闇の中、飢え、寒さ、恐怖と
戦いながら精一杯辺りを威嚇して、
道を切り開いてきたのだろうか?

道を渡りきったその先に待つものは孤独な最期だろう。
車に連れ帰り、助手席にそれを手渡す。

彼女の家に住み着く猫は出産をしたばかり。
その母性に賭けよう。

一縷の望みに縋って車を緑豊かな街に走らせた。

途中、頭を撫でる。
眉間を撫でる。
眉毛を触る。
背中をさする。
耳朶の産毛を触る。

気持ちよい。
嬉しい。
あたたかい。
イライラする。
くすぐったい。

恐怖以外のあらゆる感情を味合わせてあげたい。
両耳を斜め後ろにピッと反らした姿は
生まれて初めての「くすぐったい」だ。

いつもより急いで走らせた車からやがて
降りる段になって、シートベルトを外す助手席から、
つかの間、子猫を預かる。

しかし、一度見つけた温もり、安らぎを
その子は容易に離そうとはしない。

頑張って、頑張って孤独に闘ってきたその子は
もう充分に「いい子」なので、
やせっぽちのその子に欠けたものを呼び名にした。

元気さん。

その一言に微かな希望を託して
僕はその町を後にした。


to be continued・・・





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