2007年8月18日土曜日

Lovers In White

その時、大声をあげて僕は教材を床に叩きつけた。
驚いて駆けつけた上司のTさんは、僕の日頃と
ギャップのある僕の行動に目を白黒させていた。

「人の気持ちなんか、他人に分かる訳
ないじゃないですか。
だって俺、まだ高校生ですよ。」

今も胸にずしりと残るK君の台詞。

幼い頃に両親と距離を置いて成長せざるを得なかった彼。

時に彼にとって言葉は標識や記号としての「音」でしかなく…。

拙い外国語でのコミュニケーション、留学で得た交友に
彼が癒しを求めていたのは、周囲との語学力の差を
感じずに済んだからかも知れない。

前述の彼の台詞、これは現代国語の指導でも
英語の長文読解の講義中の会話でもなく。

全ての教科、いや、学習を離れた、彼の日々への
ジレンマや対人関係への枯渇ゆえのもの。

そんな彼への想いをなんとか伝えたくて、
一芝居打った僕だった。

君を思う気持ちはどこにもある。

君のご両親は言わずもがな、君の兄弟や友人、
君と関わるほぼ全ての人が君への思いを抱く。

それが君が好ましく思うものであるかどうかは別にして、
いつも誰だって思われている。

しかし、常にそれに飢えているのは、そうした思いを
君が自覚できないから。

それは君が周囲を「思う」ことの不足ゆえ。
思いの遣り取りのトレーニング不足ゆえ。

言葉は心を伝え合う道具だと、大事にして欲しい。
君への思いを君から大事にされなかったら、
僕だってこれほど悔しいんだ。

あの日、そんな風に僕は伝えきれたのかな?

家を買いに行ってくる、と出掛けて、帰宅時には
日本刀を一振り携える。

そんなユニークな祖父だったと君は教えてくれた。
そのお爺さんの葬儀には「白い恋人たち」からの
花輪が壮観だったとも教えてくれた。

亡くなって初めて知ったのは、君のお爺さんこそが
「白い恋人たち」の命名者であったこと。

共感能力に薄いのは君だけじゃない。
思いの遣り取りに疎いのは君だけじゃない。

北の食品メーカーも人の心を全く無視して
10数年、数字とだけ共存してきたのだから。

「白い恋人」が「黒い変人」と揶揄されても、
溶け出すことなく生きていく。

最後のよすがは愛されてきた歴史だ。
それを頼りにいつか再起を果たすのだろう。

いつも、心に残る君の言葉。
それに込められた思いは叫びの様だった。

甘えん坊で駄々っ子のK、
愛されてきた歴史なら君にも本当は充分あるんだ。

それに気付き、社会と思いの遣り取りをしているかい?
想いを分かち合える仲間を見つけられたかい?

僕は何かの役に立てたかい?




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