先日の親父全裸の一件ですが、
その利湯ならぬ理由が判明しました。
我が家では親父の趣味のための池が幾つかあり、
人間よりも大きな顔をして暮らしています。
鯉の前は秋田犬で、家族の人数を犬の頭数が
下回った事はありませんでした。
最も大きな池の水は冬場、適度な温水に変えて
池に供給されることになるのですが、
風呂場の改修のために難儀した親父が
温水シャワーの施設を作ったというのです。
問題なのは、それを誰にも内緒で一人で使用する
「癖」というか秘密主義です。
口数が少ないのと照れ症なのが災いして、
コミュニケーション不足が招く障害は
我が家では日常茶飯事でした。
しかも、その後が面倒臭そうだから、という理由で
言わないことも「言った」とするのが常だったので、
口論の種は無数にばら撒かれるクラスター状態。
そうした家庭で育ったために「言葉」と「伝える」
ということの重さを肌で感じて今の僕が
あるのかもしれません。
さて、いざ、その気になって探してみて
唖然としたのは「あった筈の場所」にない町の銭湯。
どうにか地元の下町に一軒、見つけたのですが
折角、さっぱりした後に歩いて汗だくになるのは
イヤなのでしょう。
路上駐車がぎっしりでした。
周辺に昔懐かしい佇まいの子供の社交場、
駄菓子屋さんを偶然見つけ、うれしい気持。笑顔で忍耐強く子供達の相手をしてくれる
お婆ちゃんの姿に涼風の爽快を感じます。
つい覗いた店内には麩菓子やラムネ、ライスチョコ、
ミニ容器入りのヨーグルトetc.……。
ピンクの小さなドーナツ型の笛ガムも健在でした。この駄菓子は1953年(昭和28年)、口笛が吹けない小さな子どものために考案されたのだそうです。
発売のその年に、あるラジオドラマが大人気を博しました。それが後に映画化されて萬屋錦之介演じることになる「笛吹童子」だというのですから笛ガムにも歴史あり。
時代劇の新進スターとして中村錦之助時代に弟の賀津雄と
日本映画の黄金期に主演した「殿さま弥次喜多」
シリーズが僕は大好きなのですが、
その萬屋錦之介さんが亡くなって10年。
「中村錦之助」を、甥の中村信二郎さんが継ぎ、
二代目襲名披露を兼ねた「四月大歌舞伎」が
歌舞伎座で催されたばかりなのだそう。
町の駄菓子屋のお婆ちゃんの博識ぶりに満足して、
駐車スペースが見つからないのも汗臭いのも
少しだけ忘れた僕でした。
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